吃音の話し方には特徴があり、いくつかのパターンがあります。
言葉の一部や言葉そのものをくりかえす
言葉の一部をくり返すパターンでは、
- 「こ、こ、こ、こんにちは」
- 「こん、こん、こんにちは」
上記のような話し方になり、言葉そのものをくり返すパターンでは、
- 「きょ、きょう、きょうは良い、良い天気、天気ですね」
のような話し方になります。
吃音の話し方の中では、一番よく聞かれる話し方です。
音が出ないまたは、途中で詰まるタイプ
- 「・・・・・こんにちは」
- 「こん・・・にちは」
のような話し方になります。就学以降、吃音を自覚した後によく見られる話し方です。
音を伸ばすタイプ
- 「こーーーんにちは」
- 「こーんーーーーにーちーは」
のような話し方になります。伸びる箇所は人や状況によっても変化し、一定ではありません。
これ以外にも、違う言葉に言い直したり、話すことを中断したり、「えーと」「あのー」などの言葉を頻繁に使ったりする話し方もあります。
これらの話し方は、吃音を恐れたり、吃音を避けたいと思うことから出る症状だと考えられています。
そして、これらの話し方が、入り混じった話し方になるのが普通です。
また、吃音が始まった頃は、くり返したり、音を伸ばしたりするパターンが多いのですが、自身で吃音を認識するようになってくると、気が張り、体がこわばり、さらにプレッシャーを感じて、音が出てこないパターンが現れてくるようです。
そして、その空白を埋めるように「えーと」「あのー」などのつなぎ言葉が増えてきます。
吃音は、話し方のパターンの他に、体の動きがあることも特徴です。
随伴運動(ずいはんうんどう)とよばれています。
これは、吃音が出始めたばかりの幼い頃にはまだ多くは見かけない症状です。
吃音を自身で認識し、
- 「なんとか、つっかえないように話そう」
- 「なるべく、どもらないようにしよう」
と思い、いろいろと動きながら話すうちに自然に覚えてしまった動作のようで、その動作をした時は、つっかえずに話せた、どもりにくかったなどの体験を積み重ね、体が無意識に反応する、いわゆる条件反射だと考えられています。
例えば、
- 手足をばたばたさせる
- リズムをとりながら話す
- 目をかく
- 体をのけぞらせる
- 顔をゆがめる
- 深呼吸をする
などのような動作があります。
このような随伴運動によって、吃音をより目立たせていることも確かで、相手がこの動作を気にかけていたり、不快なそぶりを見せたりすると、なんとかして動作を抑えようとしますが、動作を抑えると今度は吃音がはげしくなり、話し方よりも、この動作に思い悩むようになる人も少なくありません。
また、随伴運動とは違い、どもることに対する、恐れ、心配、警戒などの気持ちから、
- 顔が赤くなる
- 汗をかく
- 硬直する
- けいれんする
- 目をぱちぱちさせる
- 目線を外す
のような症状がみられることもあります。ほかにも、
- くちをとがらせる
- 高い声で話す
- 肩で呼吸をする
というような、特有の症状もあるようです。
さらには、話すこと自体をためらい、知らないふりをしたり、考え中のようなそぶりをしたり、人と会わないようにするなどの行動も、吃音の症状といえると思います。